認知症の診断や評価には、さまざまなテストがありますが、その中でもよく用いられるのが、MMSE(ミニメンタルステートテスト)とHDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)です
これらのテストはどのように違い、どのように使い分けるのでしょうか。この記事では、MMSEとHDS-Rの特徴や内容、評価方法、適用範囲などについて解説します
MMSEとは
MMSEは、1975年に米国のフォルスタイン博士らによって開発された、認知機能の簡易的なスクリーニングテストです
11の項目からなり、30点満点で、23点以下は認知症の疑いがあるとされます
MMSEの項目は以下の通りです
- 時間の見当識
- 場所の見当識
- 即時再生
- 注意と計算
- 遅延再生
- 言語
- 筆記
- 図形の模写
MMSEの特徴は、筆記や図形の模写など、高次脳機能を評価する項目が含まれていることです
これにより、失語や失認などの症状を検出することができます
また、MMSEは、アルツハイマー型認知症だけでなく、脳血管性認知症やレビー小体型認知症など、さまざまなタイプの認知症に対して有効です
HDS-Rとは
HDS-Rは、1984年に日本の長谷川博士によって開発された、認知機能の簡易的なスクリーニングテストです
9の項目からなり、30点満点で、20点以下は認知症の疑いがあるとされます。HDS-Rの項目は以下の通りです
- 年齢
- 日付
- 場所
- 即時再生
- 計算
- 数字の逆唱
- 遅延再生
- 5つの品物
- 繰り返し
HDS-Rの特徴は、筆記や図形の模写などの項目がなく、口頭での質問と回答のみで行えることです
これにより、視覚や聴覚に障害がある方や、筆記用具を使えない方にも適用できます
また、HDS-Rは、日本の文化や教育水準に合わせて作られているため、日本人に対してはMMSEよりも高い信頼性と妥当性を持ちます
MMSEとHDS-Rの使い分け
MMSEとHDS-Rは、どちらも認知症のスクリーニングに有用なテストですが、それぞれに長所と短所があります
そのため、使い分けることで、より正確な認知症の評価ができます。以下に、MMSEとHDS-Rの使い分けのポイントを示します
- MMSEは、高次脳機能障害を評価する項目があるため、失語や失認などの症状がある方に適しています。また、さまざまなタイプの認知症に対応できるため、認知症の原因が不明な場合や、複数の原因が重なっている場合に有効です。
- HDS-Rは、口頭での質問と回答のみで行えるため、視覚や聴覚に障害がある方や、筆記用具を使えない方に適しています。また、日本人に対してはMMSEよりも高い信頼性と妥当性を持つため、日本人の認知症のスクリーニングにはHDS-Rを優先的に用いることが推奨されます。
まとめ
この記事では、MMSEとHDS-Rの違いと使い分けについて解説しました
MMSEとHDS-Rは、認知症のスクリーニングに有用なテストですが、それぞれに長所と短所があります
そのため、対象者の状態や認知症のタイプに応じて、適切に使い分けることが大切です
また、MMSEとHDS-Rは、認知症の診断や評価のための補助的なツールであり、医師や専門家の判断に代わるものではありません
認知症の疑いがある場合は、早めに医療機関を受診することが重要です
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