予測的姿勢制御とは?

セラピスト向け
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姿勢制御とは?

予測的姿勢制御を語る上で先に理解しておかなければいけないことは姿勢制御についてです

姿勢制御とはその名の通り「姿勢を制御する」と言う意味です

人間は体を動かす時に腕を持ち上げたり脚を前に出したりすると

重心が大きく前へ動きます

人間が人形の様にただの物体だった場合

2本の足で立つ狭い支持基底面に加え重心が高く

その中で重心を大きく動かすと容易にバランスを崩してしまいます

肩が動く人形をイメージするとわかりやすいかと思います

「前へならえ」のように肩屈曲90度にすると姿勢は保ちづらくすぐに前方に転んでしまいます

doll standing on brown leaves

しかし実際の人間では腕をあげたり脚を前に出す程度ではバランスを崩して転ぶことはありません

これは腕を上げたり足を前に出すと言う随意運動の背景で姿勢を保つために事前に重心の位置を後方へ移動しバランスをとっている為です

大事なので整理してもう一度言うと

随意運動する時には必ずその背景で姿勢制御を行っています

予測的姿勢制御(先行随伴性姿勢制御)APAs

この姿勢制御は大きく2つにわけられます

姿勢制御は重心が移動するのを予め予想して随意運動する前にバランスをとる予測的な活動

予測しきれていない重心移動に対応してバランスをとる反応的な活動に分けられます

先に述べた予測的な活動が予測的姿勢制御になります

先行随伴性姿勢制御とも言われます

私の言い回しだけでは分かりづらい部分もあると思いますので

他で言われている説明文を以下に引用しておきます

身体に対して加わる外乱の予測が行われている際に、外乱後の姿勢を安定させるためにそれに先行する筋活動が生じる。これを予測的姿勢制御(Anticipatoryposturaladjustments:APAs)と呼ぶ

米本2012

予測的姿勢制御で重要なのは随意運動よりも先に姿勢筋の筋活動が先行して起こることです

バランスをとることが苦手な高齢者や脳卒中片麻痺の方は運動するよりも先に姿勢筋を活動させることが苦手な事が多く見られます

そのため動き出すことでバランスが大きく崩れ、そのバランスを立て直すために過剰な反応が出てしまいます

結果、起こしたい随意運動の円滑さを阻害してしまうことが多くみられています

バランスを保つことはもちろん、滑らかな多様的な選択的な運動を獲得するために必要な機能が予測的姿勢制御です

予測的姿勢制御の例

予測的姿勢制御の例として以下のものがよく上がります

手を上げるより前にハムストリングスの収縮がある

歩き始める直前に重心が後方に移動する

しかしそれらはイメージしづらいですよね

私としては「手押し相撲」がイメージしやすいかと思います

手押し相撲とは2人が向き合って掌を押し合って一歩動いた方が負けるというゲームです

手押し相撲では相手を押すつもりで力を入れ、イメージ通り押すことができるとそのまま簡単に姿勢は制御できます

もし押す力を透かされれば自身のイメージ以上の重心移動が起きてしまい、反応的姿勢制御にて姿勢を制御しなければならなくなります

予想通りなのか、予想と違うのかで姿勢の取り方が大きく変わる手押し相撲がイメージしやすいかと思います

姿勢制御の評価

Horak らは、バランス能力を6つの姿勢制御機能のシステムとして捉えることを提唱しています

  • 生体力学的な制約
  • 安定性限界/姿勢の鉛直性
  • 予測的姿勢調節
  • 姿勢反応
  • 感覚適応
  • 歩行時の安定性

これらの要素を取り入れた評価として「BESTest」というものがあります

こちらの記事でBESTestについて記載していますので良ければご参照ください

まとめ

運動する前に脳内で勝手にバランスをとって調整している能力が予測的姿勢制御です

最後までお読み頂きありがとうございます

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