脳卒中片麻痺の予後予測の能力が治療技術を向上させる

セラピスト向け
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はじめに

脳卒中片麻痺では症状が多種多様となり、予後を予測することが大変です

入院する前の身体機能や歩き方という個別性も不明なままです

これも予後予測を困難とします

そんな予後予測について語っていきます

なぜ予後予測が必要なのか

そもそもなぜ予後予測が大切なのでしょうか  

回復期で考えると以下の3点が主な理由です 

  1. 治療内容の吟味
  2. 早期退院の達成
  3. 家族の心の準備ができる

治療内容の吟味

1つ目の理由は自身が提供した治療効果の確認、治療内容の再考に有効となります

入院時の患者で予後予測を考えてみましょう

例えば

「2か月後に屋内歩行が自立になる」と予測したと仮定します。それが予定通りに自立となれば自身の予測が正しかったとなります 

しかし予測が外れた場合に「なぜ?」と疑問が生まれます

  • 既往歴が十分に考慮できていなかったのか
  • 認知面を考えられていたか
  • 画像診断にミス無かったか
  • 見通しが甘かったのか
  • 治療内容が悪かったのか
  • 意欲が低かったのか

上記以外にも色々なことが考えられます

もし予測していなければ「元々歩行までは難しかった患者だ」と自身に言い訳だけして成長せず終わってしまうかもしれません

このように治療内容を吟味できる為、予後予測は大切です 

早期退院の達成

予後予測が必要な2つめの理由として早期退院の達成が挙がります 

予後予測ができると治療の方向性を決めることができるからです

ゴール(目標)という行先が決まっていないとどんな良い治療も無意味になってしまいます

例えですが、富士山の山頂(目標)に行くためには当たり前ですが富士山に登らなくてはいけません

しかし、「富士山の山頂の標高は3776mだからとりあえず標高を高くしないといけない」

とその辺の山に登ってしまっては富士山の山頂に着くことができません

富士山山頂へは返って遠回りになってしまいます

 患者さんで考えると運動機能がすぐに上がってきそうな患者さんがいたとします

その患者さんに対して車椅子のブレーキやフットレストの管理に口うるさく指導する必要があるでしょうか

1か月も立たず病棟のADLが歩行ベースとなるならば必要性は少ないですよね

もし予後を予測できていなければ目の前の問題点である「車椅子管理不十分」という目の前の問題点の解決に時間を割いてしまいます

他にもゴールが屋外の歩行困難な見立ての患者さんであれば病棟のベッドサイドで靴の着脱の練習に時間を割くのはもったいないことも想像しやすいかと思います 

車椅子管理や靴の着脱は出来るに越したことはありません

しかし入院もタダではないですし、患者さんも病院生活というストレスの中にいるので治療効率を高め早期退院させてあげる為には予後予測が必要になります

家族の心の準備ができる

予後予測が必要な理由の3つめの理由として家族の準備があります

核家族化が進む中、高齢者同士で介護しあう老々介護が増えています

そうなると自宅退院の主な因子である介護力が低い家庭が多く、事実上自宅退院が困難となる患者さんもいます 

予後予測ができるということは自宅退院が難しい場合に家族は施設を吟味する時間が生まれます

家族が早期に方向性を決められることでセラピストも退院後の生活に即した介入ができます

例えば施設に転院が決まっていえばトイレ練習はL字手すりを使用した介助量軽減を目標にできます

介護が大変でもなんとか自宅に退院させる方向性となっており、トイレ環境が複雑な場合にはL字手すりでトイレ練習してもほとんど意味がありません

家族介助で180度方向転換する練習が求められるかもしれません

そう考えると退院前家族指導を早期から取り組む必要があります

家族が方向性を早期に決められることで後手に回りやすい退院時指導が先手を取りやすくなります 

どうなれると良いか

予後予測ができると上記で挙げた通り

患者さんの為

スタッフの成長の為

病院の為

になります

その為、予後予測の精度を高められると良いでしょう 

どうしたら成長できるか

予後予測には大きく3つの方法があります

  1. 脳画像
  2. 過去の報告
  3. 過去の改善傾向

これら3つを学習できれば予後予測に関して十分に成長できます。

まとめ

予後予測ができれば患者さん・ご家族・病院の為になる

主に「脳画像」「過去の報告」「過去の改善傾向」の3つから予測できる

予後予測することで自身の治療が見直せる

しっかり細かく入院時に予測していこう!

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