なぜ歩けても「生活動作」ができないのか【重要】
回復期ではよく、
「廊下は歩けるのに、病室ではふらつく」
「家に帰ったら不安定だった」
というケースが見られます。
その代表例が、
- カーテンを開閉するときにふらつく
- 掃除で屈んだときに不安定になる
- トイレ内で方向転換できない
- 物を持って移動できない
といった動作です。
これらは、単なる歩行練習だけでは身につきません。
カーテン開閉・掃除動作で起きる問題
例えばカーテン動作では、
- 片手支持
- 体幹回旋
- 重心移動
- 片脚支持
が同時に必要になります。
掃除で屈む動作では、
- 股関節・膝の協調運動
- 体幹の前後制御
- バランス保持
が求められます。
つまり、「歩く」とはまったく違う能力です。
直線歩行と生活動作の決定的な違い
病棟廊下の歩行は、
✔ 平坦
✔ 直線
✔ 障害物なし
✔ 両手が空いている
という、非常に条件の良い環境です。
一方、生活動作は、
❌ 狭い
❌ 回旋が必要
❌ 不安定
❌ 片手作業あり
という「負荷の高い環境」です。
この差を埋める訓練をしなければ、生活にはつながりません。
歩行練習ばかりで起こる3つのリスク(再整理)
① 代償動作が生活場面で破綻する
② 痛み・不安定性が増す
③ 応用力が育たない
「歩けるのに危ない人」が生まれる原因です。
課題志向型アプローチのメリットと限界
課題練習は重要ですが、
- 身体機能が不足したまま
- 無理に生活動作をさせる
と、学習効果が低下します。
基盤がない状態での課題練習は、
「できている“風”」を作るだけになりがちです。
リハビリに必要な「基盤づくり」とは
応用動作につなげるための基盤には、
- 体幹回旋安定性
- 片脚支持能力
- 重心移動能力
- 上下肢協調性
が含まれます。
これらを意識して訓練することが重要です。
評価から考える正しい訓練の組み立て方
評価では、歩行だけでなく、
- 方向転換時の安定性
- 物を持った状態での動作
- 屈み動作の質
- 疲労後の動作変化
まで確認します。
「生活を想定した評価」が重要です。
管理職・教育者視点でのポイント
若手には、
「病棟を歩けたらOKではない」
ことを繰り返し伝える必要があります。
カンファレンスでも、
✔ 生活場面
✔ 応用動作
✔ 環境要因
を必ず議題に入れることが大切です。
まとめ
とりあえず歩かせるリハビリでは、
- カーテン動作
- 掃除動作
- 狭所移動
には対応できません。
評価→基盤→応用。
この流れを意識することが、真の自立支援につながります。
