【評価用紙あり】SARAって何?運動失調の評価方法について解説!

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SARAとは、脊髄小脳変性症などの運動失調の重症度を定量的に評価するツールです。この記事では、SARAの評価項目や活用方法、利点と欠点について解説します。SARAを使えば、運動失調の様々な側面を客観的に把握し、治療の効果を確認することができます。

SARAの定義と背景

SARAとは、Scale for the Assessment and Rating of Ataxiaの略で、脊髄小脳変性症の患者の運動失調を評価するために開発された評価方法です。脊髄小脳変性症とは、脊髄や小脳などの神経細胞が変性することで、歩行や姿勢、言語などに障害が生じる疾患です。

SARAは、8つの評価項目から構成されています。姿勢と歩行、伸筋運動、指の追随運動、運動の調整、発声などが評価され、各項目には0から2のスコアがつけられます。最大スコアは40点で、スコアが高いほど、患者の運動失調が深刻であることを示しています。

SARAの活用方法

SARAは従来の運動失調の評価方法と比較して、より定量的で客観的な評価ができるとされています。SARAの総合点は、患者の日常生活動作の自立度を評価する指標であるBarthel Index(BI)と高い相関性があります。BIとは、食事や排泄、移動などの基本的な生活動作について、0から100点のスコアで評価する方法です。SARAとBIは、運動失調の影響を異なる観点から評価することができます。

SARAは、治療前と治療後のスコアを比較することで、治療効果の程度を客観的に判断することができます。SARAのスコアが減少すれば、運動失調の改善が見られたことになります。SARAのスコアが変化しなければ、運動失調の安定化が見られたことになります。SARAのスコアが増加すれば、運動失調の悪化が見られたことになります。SARAを定期的に行うことで、運動失調の経過を追跡することができます。

SARAの利点と欠点

SARAは、医療現場で広く使用されており、脊髄小脳変性症の運動失調の評価に限らず、多様な疾患における運動障害の評価にも使用されています。SARAは、以下のような利点を持っています。

  • 簡便で迅速に行える。SARAの評価には、約10分程度の時間がかかります。特別な機器や設備は必要ありません。
  • 信頼性と妥当性が高い。SARAの評価は、検者間や検者内での一致度が高く、信頼性が高いとされています。また、SARAの評価は、運動失調の重症度や日常生活動作の自立度と高い関連性があり、妥当性が高いとされています。
  • 治療効果の評価に有用である。SARAの評価は、治療前後の運動失調の変化を定量的に評価することができます。SARAの評価は、治療法の選択や効果の判断に役立ちます。

一方で、SARAには、以下のような欠点もあります。

  • 運動失調の原因や機序については評価できない。SARAの評価は、運動失調の現象に基づいて行われますが、その背景にある神経学的な異常や病理学的な変化については評価できません。運動失調の原因や機序を知るためには、他の検査方法や画像診断などを併用する必要があります。
  • 運動失調の質的な側面については評価できない。SARAの評価は、運動失調の量的な側面について行われますが、患者の主観的な感覚や感情、生活の質などについては評価できません。運動失調の質的な側面を知るためには、患者の自己評価やアンケートなどを併用する必要があります。
  • 運動失調の種類や部位によっては評価できない場合がある。SARAの評価は、主に小脳性運動失調に対して開発されたものであり、他の種類の運動失調に対しては適用できない場合があります。また、SARAの評価は、主に上肢や下肢、体幹などの運動失調に対して行われますが、眼球や顔面、口腔などの運動失調に対しては評価できない場合があります。運動失調の種類や部位に応じて、他の評価方法や検査方法を併用する必要があります。

SARAの使用例

従来の運動失調の検査方法では、指鼻指試験などが活用されていましたが、これらの検査では陽性か陰性かの確認しかできず、定量的な評価が難しいという問題がありました。SARAでは、一部定量化されており、重症度や変化を追うことができるため、学会発表で聞かれることが増えた評価方法の一つとなっています。

SARA評価用紙

SARAの評価項目について詳しく知りたい場合は、以下のPDFをご参照いただけましたら幸いです。ぜひ、SARAを使って運動失調の評価を行ってみてください。SARAを活用すれば、運動失調の改善に役立つ治療法を見つけることができるかもしれません。

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